睡眠障害

私たちの睡眠の質は、日々の生活において非常に重要な役割を果たしています。良質な睡眠は、心身の健康を保ち、日中の活動に必要なエネルギーを提供するために不可欠です。しかし、多くの人々が睡眠障害に悩まされており、その原因の一つに鼻づまりがあります。鼻の症状を改善することは、このような睡眠障害を改善し、睡眠の質を向上させることができる治療法として注目されています。

鼻の問題が睡眠に与える影響

鼻は、私たちが呼吸をする際の重要な通路です。鼻の構造に問題があると、呼吸が妨げられ、睡眠中に起こるさまざまな障害が引き起こされることがあります。代表的なものに、いびきや睡眠時無呼吸症候群があります。これらの状態は、睡眠中の呼吸が不規則になり、睡眠の質が低下する原因となります。

検査

問診　

問診は、症状の種類と程度、症状の経過、生活習慣と環境、既往歴、生活への影響などについて詳細に聞き取ります。特に睡眠障害を起こすような鼻づまりでは、一日中なのか夜間に症状が強いかなどの症状の経過、生活習慣である飲酒歴や既往歴は重要になります。これにより、患者さんの状態を正確に理解し、適切な検査や治療方針を決定するための情報が得られます。

内視鏡検査

内視鏡検査は、鼻腔内の構造や状態を詳細に観察するための検査です。細い内視鏡を鼻の中に挿入し、鼻腔内の画像をモニターに映し出します。鼻中隔の曲がり、ポリープ、腫瘍、炎症など、さまざまな鼻の問題を発見することができます。検査は比較的短時間で行われ、麻酔を使用する場合もあります。内視鏡は細く、検査による痛みはほとんどありません。

副鼻腔CT

CT検査では、鼻や副鼻腔の構造を詳細に調べるための画像診断法です。X線を使用して、鼻や副鼻腔の断面画像を撮影し、鼻中隔の曲がりや副鼻腔炎、腫瘍などの異常を検出することができます。CT検査では、上記の内視鏡検査だけでは判断が難しい深部の構造を調べる際に有効です。

血液検査

血液検査で抗原特異的IgE抗体を測定し、症状がアレルギー性鼻炎によって引き起こされているかどうかを判断します。ダニ、スギ、カビ、動物など特定のアレルゲンに対する抗体の有無を調べます。アレルギー性鼻炎の診断には欠かせない検査です。

簡易型睡眠時無呼吸検査

簡易型睡眠時無呼吸検査は、睡眠時無呼吸症候群の診断のために自宅で行うことができる検査方法です。通常のポリソムノグラフィと比較して、装着する機器が少なく、簡単に測定できるため、患者さんにとって負担が少ないのが特徴です。検査では、血中酸素濃度、鼻や口からの呼吸の流れ、胸や腹部の動きなどを記録します。これらのデータをもとに、睡眠中の呼吸の状態を評価し、無呼吸や低呼吸の発生頻度や重症度を判断します。簡易型睡眠時無呼吸検査は、手軽に行えることから、睡眠時無呼吸症候群を疑った際に最初に行う検査です。検査結果で重症の睡眠時無呼吸症候群の可能性があると判明した場合は、病院での詳細なポリソムノグラフィ検査が推奨されてます。

治療法

薬物療法

アレルギー性鼻炎が原因であれば第二世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などで治療を行います。原因に応じて薬物療法を行います。

手術

鼻の手術による睡眠の質の向上が報告されています（Am J Rhinol. 2008, Otolaryngol Head Neck Surg. 2014)。鼻の手術は、鼻の構造的な問題を修復し、呼吸を改善することを目的としています。具体的には鼻中隔矯正術や下鼻甲介手術を行います。これらの手術によって、鼻中隔の曲がりや鼻腔の狭窄などが修正され、空気の通り道が広がります。これにより、睡眠中の呼吸がスムーズになり、いびきや睡眠中に鼻づまりで目が覚めてしまうなどの症状が軽減されます。結果として、睡眠の質が向上し、日中眠気や疲労感、そして集中力の低下などの問題が改善されることが期待できます。

まとめ

鼻の病気は、睡眠の質に大きな影響を与えることがあります。鼻の手術は、呼吸の改善を通じて睡眠の質を向上させる可能性がある治療法です。睡眠障害に悩んでいる方は、鼻の状態をチェックすることをお勧めします。当院では、内視鏡検査、鼻腔通気度検査、CT検査が行うことができ、鼻の構造と空気の通り道を詳しく調べることができます。良質な睡眠は、健康で充実した日常生活を送るための第一歩です。