学会での講演「好酸球性副鼻腔炎の抗体療法とその最前線について」

2024.04.20
  • #講演会

大阪の関西医科大学が主催する第4回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会に参加してきました。関西医科大学は有名なひらかたパークの隣駅である枚方駅が最寄りで、京都駅と大阪駅の中間にあります。

院長は、2016年から本学会が開催された関西医科大学耳鼻咽喉科の研究室でアレルギーの研究を行い、その後フランスのパスツール研究所に留学した経緯があり、今回の学会開催地はとても思い入れのある地でした。

今回、アレルギー疾患の1つである好酸球性副鼻腔炎の治療について、パネリストとして発表して参りました。

大阪からは、関西医科大学総合医療センターの高田 洋平先生、香川大学からは秋山貢佐先生、東京からは東京慈恵会医科大学の森恵莉先生と院長の細矢慶で、全員が日本鼻科の手術指導医もしくは暫定指導医をもつ豪華メンバーでした。4人の先生方と、好酸球性副鼻腔炎の「手術」、「ステロイドの使用」、「病状制御率の向上」、「抗体療法」4つのテーマで講演を行い、私は「好酸球性副鼻腔炎の抗体療法とその最前線について」を担当いたしました。その後にそれぞれのテーマについてディスカッションを行いました。それぞれのパネリストが、内視鏡下副鼻腔手術を行う注意点やコツについての説明を行いました。特に重要な点として、

・副鼻腔の多くがつながる中鼻道を大きく開けること

・そのためには適宜、中鼻甲介の形を整えたり、骨を除去すること

・術後に副鼻腔やにおいに重要な嗅裂が癒着しないようにシリコンを留置することや、被覆材を留置すること

・術後に患者様ご自身で鼻洗浄をしていただくのに加えて、医師が外来で副鼻腔内を丁寧に洗浄をすること

が挙げられました。

また、好酸球性副鼻腔炎は、長期経過で再発することが多いため、日々の副鼻腔のケアが欠かせません。そのため、手術後の鼻洗浄や患者様に病気を理解していただくことの重要性について再確認をしました。

当院に月に一度、第四土曜日に診療を担当する東京旗の台に拠点をもつ昭和大学耳鼻咽喉科の洲崎勲夫先生は、好酸球性副鼻腔炎と副鼻腔炎と鼻の症状が非常に似ている好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)との鑑別についてご講演されました。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、鼻づまりなどの鼻の症状と喘息が先立ち、その後に手足のしびれや発熱などを来す全身におこりうる血管炎の病気です。こちらの病気も難病に指定されており、およそ4000人の患者様が登録されています。これまでは、この病気が発症する前の症状としてアレルギー性鼻炎が発症すると考えられていましたが、近年の研究からは鼻の症状はアレルギー性鼻炎様ではなく、嗅覚障害や鼻茸が目立つ所見で好酸球性副鼻腔炎と同等であることがわかりました(Audiol Neurootol. 2016)。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、副鼻腔だけでなく、腎臓、肺、心臓、眼、耳、長官、皮膚、神経など他の多くの臓器に障害を起こします。

当院では、好酸球性副鼻腔炎と診断された患者様に対して、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症である可能性を考えて、精査を行っており、早期発見・早期治療に努めております。

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