鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の術後再発リスク因子と治療改善の可能性
2025.01.21最新の論文をご紹介します。
イントロダクション
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は、内視鏡下副鼻腔手術後に再発しやすい疾患の1つです。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎のおよそ半分は好酸球性副鼻腔炎と考えらえ、日本では難病として指定されています。術後の再発リスクを予測し、適切な治療戦略を講じることが、患者の生活の質向上に重要です。本研究では、術後再発リスクに関連する因子を明らかにし、治療改善の可能性について検討しました。
研究の背景と目的
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は、鼻腔や副鼻腔の閉塞および嗅覚障害を特徴とする炎症性疾患です。術後の再発を予防するためには、信頼性の高い予測指標を活用した治療が必要です。本研究の目的は、再発リスクに関連する血清マーカーを特定し、予測モデルを構築することです。
研究の方法
2022年1月から2024年7月までに中国の江夏区第一人民病院で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下副鼻腔手術を受けた患者270名を対象に実施しました。患者を以下の2つのグループに分類しました:
- 再発グループ:術後に再発した患者40名
- 非再発グループ:術後に再発しなかった患者230名
採取した血清サンプルを用いて、ECP/MPO、IgE、CCL4を測定し、それらと再発リスクとの関連を解析しました。
結果
- 内視鏡下副鼻腔手術後の85.2%の患者は再発を認めなかった。
- 再発グループは非再発グループと比較して、ECP/MPO、IgE、CCL4の値が有意に高値を示しました。
- これら3つの指標を組み合わせた予測モデルでは、再発の予測精度が非常に高く、曲線下面積(AUC)は0.900を超えました。
- 鼻茸のダボススコア、喫煙歴、術後感染も再発リスクに関連する要因として特定されました。
- 多変量解析では、ECP/MPO、IgE、CCL4が再発の独立した危険因子であることが確認されました。
考察
本研究は、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の術後再発リスクを予測するための信頼性の高い指標として、ECP/MPO、IgE、CCL4を明らかにしました。これらの指標を活用することで、再発リスクが高い患者を早期に特定し、個別化された治療を行うことが可能です。また、喫煙歴や術後感染もリスク因子であることから、術後の生活指導や感染管理の重要性が示唆されます。
当クリニックでは、これらの最新知見を基に、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎の患者さまに最適な治療プランを提供していますので、お困りの方は、ぜひご相談ください。
引用はこちらからです。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39822494/