慢性副鼻腔炎の手術に将来的に変わる可能性のある治療

2024.03.12

細胞は、免疫系のバランスを保つために重要な役割を果たします。リンパ球の一つである制御性T細胞は、過剰な免疫反応や自己免疫反応(自分の体を攻撃する免疫反応)を抑制することで、免疫系の調節を行います。これにより、体が過剰な炎症や自己免疫疾患を発症するのを防ぎます。

現状の好酸球性副鼻腔炎の治療は、内視鏡下副鼻腔手術を行い、薬物治療で症状をコントロールすることが基本になりますが、今回発表された報告からは、将来的に薬物治療や自己血輸血などの新たな治療法の可能性が示唆されました。

好酸球性副鼻腔炎は、アレルギー反応を起こすタイプ2炎症が亢進していて、それを抑制させる制御性T細胞がうまく機能していないことが報告されました。TNFR2陰性の制御性T細胞は抑制機能が弱く、TNFR2陽性の制御性T細胞は抑制機能が高いことがわかり、制御性T細胞を標的とした治療法が慢性副鼻腔炎の管理に有効である可能性があると述べています。制御性T細胞の活性化や発育を促すことで、炎症反応を抑制し、症状の改善につながる可能性があります。実用化されるには、かなり時間が要するとは思いますが、期待される治療と思います。

Cytokine. 2024 Mar 6:178:156557. doi: 10.1016/j.cyto.2024.156557

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