内視鏡下鼻副鼻腔手術のコツ 〜手術を行う際の「構え」〜

2024.03.13
鼻科手術指導医制度は鼻科手術をより安全確実に施行して頂くために術式の標準化を目指し、後進の育成をはかることを目的として令和2年に発足しました。鼻とにおいのクリニック池袋で独立してからも定期的に大学病院へ手術の指導を行っております。私が、手術指導医を取得をするのにあたり意識した点や鉗子の使用方法などを述べていきたいと思います。

質の高い内視鏡下鼻副鼻腔手術を行うには多くの要素が重なり合いますが、その中でも特に重要なのが「体のポジション」です。あまり話題に上がらないかもしれませんが、正しい体の位置は手術の精度を高める上で不可欠です。例えば、鼻の手術では、医師が2時間ほど立った姿勢や座った姿勢で動かない状態でいることが多く、その間に最適な体勢を保つことが、私たち医師にとって疲れを減らし、質の高い手術を継続するポイントになります。私は幼少期より剣道をしており、剣道の基本姿勢を手術における「体の軸」として活用しています。この姿勢は臍の下の丹田に力をいれ、肩の力を抜き、前後左右に柔軟に動けるようにすることで、体への負担を減らし、長時間の集中力を維持することを可能にします。

特に手術を習い始めた初期の段階では、緊張からくる肩の力みが、手術の精度に影響を与えかねません。鼻の手術では、内視鏡を左手で持ち、右手で精密な操作を行います。ここで重要なのは、内視鏡を力任せにではなく、柔らかく握ること。これにより、患者さんの鼻、左手、左肩で最適な「三角形の形」を作り出すことができます。このバランスの取れた形は、右手の鉗子操作を自由自在にし、質の高い手術が可能になります。

解剖、手術技術に対する深い理解に加え、それを支える基本姿勢へのこだわりが、患者様さんへの最良の手術を提供するための基盤となっています。
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