喘息

  • #専門とする疾患
  • 喘息とは

    喘息(気管支喘息とも呼びます)はとても一般的な病気で、20歳から44歳の有病率は5.4%で日本にはおよそ90万人が罹患しており、ここ20年で2~3倍に増加しています。子供からの喘息だけでなく、大人になってから喘息になる方も多くいらっしゃいます。東京都におけるアレルギー疾患患者の状況からは、喘息患者が16万人、アレルギー性鼻炎患者が8万人と推定されています(喘息患者は東京都アレルギー疾患対策推進計画(素案)に関する参考資料)。
    当院では、耳鼻咽喉科専門医と呼吸器専門医が協力して、長引く咳や痰の診断・治療を行います。

    喘息の症状

    • 呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューと音がする
    • かぜのあとの咳が、なかなか治らない
    • 寝るときや明け方に咳や呼吸が苦しくて、眠れないことや目が覚めることがある

    喘息は、気道が炎症を起こして狭くなり、呼吸がしにくくなる病気です。症状として一般的には「ゼーゼー」「ヒューヒュー」するといった症状(喘鳴:ぜんめい)が知られていますが、長引く咳(特に夜間や早朝に多い)や痰、息苦しさ、のどの奥の方の違和感、胸の痛みなどの症状も、実は喘息の非典型的な症状として存在します。喘息になりかかっている状態として、主に咳のみが続く“咳喘息“という病態もあります。
    喘息は高血圧や糖尿病などと同様に慢性疾患ですので長期的な管理が重要です。

    喘息の原因

    ダニなどのアレルゲンが気道の粘膜を障害し、感作します。
    再度、アレルゲンが侵入してきた際に過剰な炎症を引き起こし気道に炎症が生じます。
    原因は、遺伝的な因子、肥満、喫煙などやダニなどのアレルゲンが多い環境因子に分けられます。近年では、慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎の関与が注目されています。

    喘息と副鼻腔炎の関係について

    気道は鼻から肺・気管支まで続く空気の通り道のことで、声帯より上を上気道、それより下を下気道といいます。
    近年では、日本人の重症喘息の患者さんの43.2%で副鼻腔炎を合併していることや(Allergology International .2023)、慢性副鼻腔炎が発症した後に喘息を発症する患者さんが多いことなどが報告され(Allergy. 2023 )、上気道と下気道の密接な関係から「One way, one disease」と呼ばれています。喘息があり、においがわからないなどの嗅覚障害の症状があると、慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎などの副鼻腔炎が77%で合併していることが報告されています(Medicina. 2023)。

    喘息の検査

    呼吸機能検査(スパイロメータ―)

    肺の機能を数値化し、また視覚的にも評価することができます。経時的な変化を確認することによって、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断のみでなく治療の効果判定にも役立ちます。また手術前にも実施し、安全に手術を行えるかの判断にも用いられます。

    呼気一酸化窒素濃度(FeNO)検査

    喘息など気管支の表面に好酸球が増えて炎症を起こしている時、一酸化窒素(NO)の産生が増えます。そのため、呼気中のNO濃度を測定することで好酸球性気道炎症の存在や程度を知ることができるとされています。特に、好酸球性副鼻腔炎を合併する喘息の方では高値になります。喘息の診断や治療の効果判定に役立てています。

    モストグラフ

    モストグラフは気道の抵抗を調べることのできる新しい検査法です。一般的に喘息、咳喘息やCOPDのように気管支や肺胞が狭くなって息を吐きだしにくい状態となっています。本検査では、普通に呼吸をした状態で、空気の通りやすさと肺の膨らみにくさを数値とカラーグラフィックで表示できます。こちらも喘息やCOPDの診断や治療効果の判定に有用な検査です。

    喘息の治療

    薬剤による治療と、身の回りのアレルゲンなどの悪化要因を除去するなどの環境整備を継続して行う必要があります。
     喘息治療に使われる薬は大きく分けて「長期管理薬(コントローラー)」と「発作治療薬(リリーバー)」に分けられます。治療の基本は、気道の炎症を抑える「長期管理薬」となり、

    1. 吸入ステロイド薬による気道の炎症を抑える治療
    2. 気管支拡張薬(β2刺激薬、抗コリン薬など)による気道を広げる治療

    が主体となります。特に吸入ステロイド薬が治療の根幹となりますが、現在、配合剤などを含めて多くの薬剤が使用可能となっております。それぞれ使用法が異なり、正確に手技を行うことが重要です。吸入ステロイド薬の主な副作用は、咽頭刺激感、咳嗽、嗄声、口腔カンジダ症などの局所症状です。吸入した薬剤の多くが口腔内に付着するので、吸入後は必ずうがいや飲水をして洗い流すようにしてください。気管支喘息を伴う好酸球性鼻副鼻腔炎には、吸入ステロイド薬を口から吸って、鼻から出す経鼻呼出療法が効果的で、特に内視鏡下鼻副鼻腔手術後の副鼻腔炎の再発を抑制するのに効果が高いと考えています。

    内視鏡下鼻副鼻腔手術は喘息を改善

    慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の手術を行うことで、喘息の症状が改善されることが報告されています(Otolaryngol Head Neck Surg. 2001, Int Forum Allergy Rhinol. 2013)。22の研究をまとめた論文では、合計891人が組み込まれ、76.1%の患者さんで喘息コントロールが改善、84.8%の患者さんで喘息発作の頻度が減少したことが示されています。
    内視鏡下鼻副鼻腔手術を行うことで、鼻から喉に落ちてくる鼻水(後鼻漏)や炎症を引き起こす伝達物質が減ることで、喘息が緩和すると考えられています。
    当院では、耳鼻咽喉科医と呼吸器専門医で治療方針を相談し、上気道と下気道を同時に最良な治療を行うことで、治療の相乗効果を目指します。

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