航空性副鼻腔炎

  • #専門とする疾患
    • 飛行機の降下時に突然、強い頭痛がする
    • 飛行機に乗っているときや気圧の変化で眉毛の周辺や目の周りに激痛がする

    飛行機を利用する際、とくに離陸時に突然の顔面痛や頭痛が発生することがあります。このような頭痛は「飛行機頭痛」と呼ばれ、多くの方が経験しているかもしれません。その原因の多くが航空性副鼻腔炎です。

    航空性副鼻腔炎の原因

    飛行機が上空に向かうにつれて、飛行機内の客室の気圧が下がります。そうすると、副鼻腔内部の空気が膨張し、副鼻腔の外に移動します。次に着陸に向けて飛行機の高度が下がってくると、客室内の気圧が上がるため、空気が副鼻腔内部に入ろうとしますが、副鼻腔の出入り口が狭く入ることができません。そうすると、副鼻腔内部の粘膜が陰圧で引っ張れることで、粘膜が剥がれ、粘膜下に滲出液の流出や血腫をきたすこともあります。「気圧外傷」とも呼びます。これが痛みの原因になります。

    飛行機の上昇時

    飛行機の降下時

    眉毛の位置に存在する副鼻腔(前頭洞)が発達していることが多い。(点線で示す前頭洞が通常の大きさ)
    副鼻腔の出入り口が狭く、副鼻腔に空気が入ることができません。そのため、副鼻腔内の粘膜が引っ張られ、痛みが生じます。

    航空性副鼻腔炎の症状

    航空性副鼻腔炎は、飛行機が降下するときに突然の頭痛・顔面の痛みが生じることが多く、新幹線や天気などの気圧の変化でも症状が出現する方もいらっしゃいます。痛みは、数分から30分程度で治ることが多いですが、1日など数日単位に痛みが続く方もいらっしゃいます。痛みは片側の前頭部や内側に生じることが多く、刺すような痛みや鈍い痛みなど様々です。涙、鼻づまり、眼の充血などが同時に出現することもあります。

    検査

    問診は、症状の程度や部位、症状の経過、頻度、既往歴、生活への影響などについて詳細に聞き取ります。これにより、患者さんの状態を正確に理解し、適切な検査や治療方針を決定するための情報が得られます。

    内視鏡検査

    内視鏡検査は、鼻腔内の構造や状態を詳細に観察するための検査です。内視鏡を鼻の中に挿入し、鼻腔内の画像をモニターに映し出します。鼻中隔の曲がり、鼻茸、腫瘍、副鼻腔炎など、鼻の状態を確認します。内視鏡は細いため、検査による痛みはほとんどありません。

    副鼻腔CT

    副鼻腔CTで副鼻腔炎があるかどうか、副鼻腔の出入り口が狭くなっていないかなどを確認します。患者さんの副鼻腔CTの特徴として、眉毛の位置に存在する副鼻腔(前頭洞)が非常に発達していることや鼻中隔の弯曲などの異常を認めることが多いです。また、慢性副鼻腔炎は重症例よりも軽症例であることが多いです。重症例では副鼻腔内が鼻茸や膿で充満しているため空気の出入りがないからです。このような様々な原因が副鼻腔の換気に障害をきたしています。

    血液検査

    アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎が疑われる場合に実施します。前頭洞の出入り口は好酸球性副鼻腔炎の鼻茸のできやす部位なので、慢性副鼻腔炎の症例は精査する必要があります。

    航空性副鼻腔炎の治療

    検査より原因疾患を診断し、それに応じて治療を行います。鼻中隔の弯曲が強い場合や副鼻腔の構造に問題がある場合は内視鏡下副鼻腔手術をお勧めします。手術を行うことで、複数の部屋からなる副鼻腔を1つの大きなお部屋にリフォームすることができます。特に副鼻腔の中で、前頭洞の出入り口の処理が重要になり、熟練した技術が必要になります。術後に副鼻腔の出入り口が大きく広がり、症状を軽減することができます。

    診療予約はこちら
    instagram x
    24時間
    WEB予約
    お電話はこちら