アレルギー発症のメカニズム

  • #その他
  • もともとアレルギー疾患を発症しやすい遺伝的な要素をもった小児が、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎と次々にアレルギー疾患を発症するアレルギーマーチという概念が昔から知られています。

    アレルギー疾患を引き起こす原因として、主に2つの経路が考えられており、二重アレルゲン暴露仮説と呼ばれています(J Allergy Clin Immunol. 2021)。1つ目は気道を介した経路で、花粉などの抗原を肺に吸い込むと、免疫がアレルギーの方向に反応します。大気汚染などの環境の変化も原因として指摘されています(Korean J Intern Med. 2011)。2つ目は皮膚を介した経路です。この経路はイギリスで13971名を対象としたピーナッツアレルギーの研究から明らかになりました(NEJ, 2003)。ピーナッツオイルを含む保湿剤を肌に塗布していた乳幼児で、ピーナッツアレルギーになる確率が高かったからです。近年では、ワセリンで保湿することで食物アレルギーの発症率を減らすことがわかっています(J Allergy Clin Immunol. 2020)。食事の後に抗原が腸から吸収される際には、気道や皮膚からの経路とは違って、アレルギーを抑制させるような免疫反応が起きていると考えられています。

    小児のアレルギー性鼻炎が発症時期によってタイプが異なることが、2024年の1月に韓国から報告されました(J Allergy Clin Immunol. 2024)。出生から12歳までの1050人の血液を用いて解析をしたところ、5つのタイプが同定されました。早期発症のタイプでは、幼少期の食物や吸入抗原への感作、喘息症状と関連していましたが、気道過敏性とは関連していませんでした。一方、後期発症タイプでは、吸入抗原の感作と気道過敏性を伴う喘息と関連していることがわかりました。新型コロナ感染症によるマスクの装着が、小児の花粉症の発症を抑制したと言われており、その結果に合致する論文が報告されました。

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