副鼻腔炎のメカニズム
慢性副鼻腔炎の原因
副鼻腔とは、鼻腔の周囲にある空洞のことで、左右それぞれに前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞の4つに分けられています。
副鼻腔は鼻腔と同じように粘膜に覆われており、肺に向かう空気の加温・加湿、異物の除去、免疫機能、声の共鳴を担っています。空洞である副鼻腔は、外傷から脳を守るクッションの役割や頭を軽量化しているといわれています。
副鼻腔炎のメカニズムは下記のように考えられています。
①副鼻腔に感染が起こります
②副鼻腔の粘膜が腫れ、膿が溜まります
- ウィルス感染により鼻腔や副鼻腔に炎症が生じます。
- 粘膜が障害をうけ、粘膜が肥厚します。その結果、副鼻腔の出入り口が狭くなり、粘液が排出されずに副鼻腔内に膿が溜まります。その結果、黄色い鼻水、鼻水が喉にたれる(後鼻漏)、頭痛などの症状が出現します。
このような副鼻腔炎の症状は、感染から症状が出現まで1週間程度と短く急性副鼻腔炎と呼びます。多くの急性副鼻腔炎は、自然に治癒したり短期間の薬物療法で改善しますが、なかなか症状が改善しない場合もあります。3ヶ月以上、症状が続く場合を慢性副鼻腔炎と呼びます。
急性副鼻腔炎から慢性副鼻腔炎に移行する主な原因として、
- ウィルス感染を退治するためのインターフェロンというサイトカインの分泌量が少なく、ウィルス感染が長引いてしまい、好酸球などのタイプⅡ炎症が生じること
- ウィルス感染を何度も繰り返すうちに粘膜の機能が低下し、修復に時間を要すること
などが、最近の研究から明らかになってきました(JACI. 2023)。
この病態が、鼻茸や難治性の好酸球性副鼻腔炎の原因になっていると考えられています。