副鼻腔の構造と機能

2024.08.11

人間の体は非常に複雑で精巧なデザインで成り立っており、副鼻腔(ふくびくう)はその1つです。顔や頭蓋骨の骨の中に位置する副鼻腔は、免疫、空気の加湿と加温、声の共鳴、顔面の軽量化、脳の冷却において重要な役割を果たしています。この記事では、副鼻腔の構造と機能について、解説します。

副鼻腔とは?

副鼻腔とは、鼻腔(びくう)の周囲の骨の中にある空洞のことです。副鼻腔には4対の空洞があり、それぞれが位置する骨にちなんで名前が付けられています。

上顎洞(じょうがくどう):

頬に位置し、副鼻腔の中で最大のものです。

前頭洞(ぜんとうどう):

眉の上、額の部分に位置します。

篩骨洞(しこつどう):

目と目の間に位置し、6つほどの小さな空洞が集まっています。

蝶形骨洞(ちょうけいこつどう):

鼻と目の後ろ、頭蓋骨の奥深くに位置します。

これらの副鼻腔はすべて、粘液を生成する薄い粘膜で覆われています。この粘液は、ホコリや病原菌、その他の微粒子を捕らえ、肺に入るのを防ぐ役割を果たします。

副鼻腔の機能

副鼻腔は、呼吸器系の健康、声の質、頭部の生理学全体に貢献するいくつかの重要な機能を果たしています。

  1. 粘液の生成: 副鼻腔の主な機能の1つは、粘液を生成することです。この粘性のある物質は、鼻腔に入ったホコリや細菌、その他の微粒子を捕らえる重要な役割を果たしています。粘液は鼻腔を通り、体外に排出されるか、または飲み込まれ、呼吸器系を清潔に保ち、感染を防ぎます。
  2. 空気の加湿と加温: 副鼻腔は、吸い込んだ空気を加湿し、温める役割も果たしています。空気が鼻腔を通過する際、粘液によって湿らされ、粘膜の血管によって温められます。このプロセスは、下気道のデリケートな組織が乾燥したり、刺激を受けたりするのを防ぐために重要です。
  3. 声の共鳴: 副鼻腔は、声の質と共鳴において重要な役割を果たしています。話すとき、音波が副鼻腔を通過し、そこで増幅され、修正されます。副鼻腔が詰まったり感染したりすると、声の質が変わり、鼻声やこもった声になることがあります。
  4. 頭蓋骨の軽量化: 副鼻腔は頭蓋骨全体の重量を軽減する役割を果たしています。小さな空洞にもかかわらず、副鼻腔は頭蓋骨の密度を減少させ、首の筋肉が頭を支えるのを容易にし、動きの範囲を広げます。
  5. 衝撃吸収: 副鼻腔はまた、脳や目を外傷から保護する衝撃吸収材としても機能します。空気で満たされた空洞は、顔に加わる衝撃を分散させ、これらの重要な構造への損傷リスクを低減します。
  6. 脳への血流の冷却: 近年の研究から、内温動物は外温動物に比べ副鼻腔が発達しています。これは、脳へ血液が向かう前に鼻副鼻腔で血液を冷やし脳の冷却機能をもつことがわかってきました。

副鼻腔の病気

副鼻腔は多くの重要な機能を果たしていますが、病気になると日常生活に支障があります。

  • 副鼻腔炎: 副鼻腔の炎症である副鼻腔炎は、副鼻腔の問題の中で最も一般的なものの1つです。副鼻腔炎は急性または慢性の形で発生し、鼻づまりや顔の痛み、頭痛、嗅覚の低下などの症状が現れます。症状が3ヶ月以上続くと慢性副鼻腔炎(慢性鼻副鼻腔炎)と呼びます。副鼻腔炎は、副鼻腔が詰まり、粘液が溜まり、感染を引き起こすことで発生します。鼻中隔弯曲やアレルギー性鼻炎が副鼻腔が閉塞する原因のこともあります。また、飛行機の降下時に頭痛がする航空性副鼻腔炎もあります。
  • 鼻茸: 鼻茸は、副鼻腔や鼻腔内に発生する良性のできものです。鼻づまり、呼吸がしづらい、嗅覚障害などの原因になります。大きな鼻茸は鼻腔を塞ぎ、手術が必要になることがあります。近年では、鼻茸ができやすいタイプの慢性副鼻腔炎で好酸球性副鼻腔炎が問題になっています。

これらの病気は内服などの薬物治療を行なっても改善しない場合には、マクロデブリッターを使用する内視鏡下鼻副鼻腔手術を検討します。当院では、より安全に確実に手術を行うためにナビゲーションシステムを採用しています。

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